労災保険の対象となる事故には「業務災害」「通勤災害」「複数業務要因災害」があります
以下は厚生労働省「労災保険給付の概要」R3.3からの抜粋です
労災対象(一般)業務災害 |
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<業務災害とは> 労働者が、業務を原因として被った傷病等をいいます。 業務と傷病などとの間に一定の関係があることを「業務上」と呼びます。 |
<業務上の負傷について> 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合 所定労働時間内や残業時間内に事業場施設内において業務に従事している場合は、被災した労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものと考えられるので特段の事情がない限り業務災害となります。 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合 昼休みや就業時間前後に事業場施設内にいて業務に従事していない場合は、休憩時間や就業前後は実際には業務をしていないので、この時間に私的な行為によって発生した災害は業務災害とはなりません。 ただし事業場の施設・設備や管理状況などが原因の災害は業務災害となります。 事業主の支配下にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合 出張や社用での外出などにより業務場施設外で業務に従事している場合は、事業主の支配下にあることになり、積極的な私的な行為を行うなど特段の事情がない限り業務災害となります。 |
労災対象 通勤災害 |
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<通勤災害とは> 通勤によって労働者が被った傷病等をいいます 通勤とは、就業に関し以下の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質を有さないものとされます。 「ア.住居と就業の場所との間の往復」 「イ.就業の場所から他の就業場所への移動」 「ウ.単身赴任先住居と帰省先住居の間の移動」 ◆移動の経路を逸脱し、または中断した場合にはその間およびその後の移動は通勤になりません。 ◇例外的に認められた行為での逸脱・中断の場合には、その後の移動は通勤となります。 (例:日用品の購入・職業訓練を受ける行為・選挙権の行使・医師の診察や治療を受ける行為・要介護親族の反復継続的行為) |
<労災保険法における通勤の要件> 就業に関しとは 通勤はその移動が業務と密接な関連を持って行われることです。 ア.イ.の場合は、被災当日に就業となっていたこと、ウ.の移動は原則として、就業日当日と前日または翌日までに行われるものが通勤として認められます。 住居とは 労働者が居住している家屋などの場所で、本人も就業のための拠点となるところをいいます。 災害などでやむを得ず会社近くの宿泊施設に泊まる場合はそこが住居となります 就業の場所とは 業務を開始し、または終了する場所をいいます 合理的な経路および方法とは 移動を行う場合に、一般に労働者が用いると認められる経路および方法をいいます |
複数業務要因災害 |
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<複数業務要因災害とは> 複数業務要因災害とは、1つの事業所のみでは労災認定されない場合で、複数事業労働者の二以上の事業の業務を要因とする傷病等のことをいいます。 なお、対象となる傷病等は、脳・心臓疾患や精神障害などです。 |
複数事業労働者に該当すること 複数事業労働者とは、傷病等が生じた時点において、事業主が同一でない複数の事業場に同時に使用されている労働者をいいます。(たとえば、曜日によってあるいは時間帯によってA社とB社の二つの会社で働き、それぞれから給料をもらって生計を立てている労働者) したがって、労働者として就業しつつ、同時に労働者以外の働き方で就業している者については、複数事業労働者に該当しません。 また、転職等、複数の事業場に同時に使用されていない者についても、複数事業労働者には該当しません。 複数の事業の業務を要因とする傷病等とは 1つの事業所のみでは労災認定されない場合、複数の事業場の業務上の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して、労災と認定できるか判断します。 ☆なお、複数事業労働者の方でも、1 つの事業場のみの業務上の負荷を評価し業務上と認められる場合はこれまで通り業務災害として労災認定され、全ての事業場等の賃金額を合算した額を基礎として給付基礎日額が算定されます。 詳しくは、労働基準監督署や社労士等にご確認下さい |